若手のうちに知っておきたい、「仕事をしている感」と「価値を生む仕事」の違い

昔話です。

社会人になったばかりの頃の私は、

「自分なりに一生懸命やっているのに、なぜ評価されないんだろう」

と思ったことが何度もありました。


今振り返ると、その理由はかなり明確です。


私は、

会社やチームにとって重要な仕事

よりも、

自分がやりやすく、自分が活躍している実感を得やすい仕事

を優先していたからです。

当時の自分には、その違いがよく分かっていませんでした。


「やりやすい仕事」は、達成感をくれる

仕事には、すぐ成果が見えるものがあります。

資料をつくる。

メールを返す。

自分で取ってきた小さな案件を進める。

話をよく聞いてくれる、行きやすい営業先に訪問する。

依頼された作業を一つずつ終わらせる。

こうした仕事は、進捗が分かりやすい。

一つ終わるたびに、

「今日も仕事したな」

という感覚を得られます。

私も若い頃は、この感覚が好きだったのだと思います。


一方で、

難しい案件。

利益が大きい案件。

失敗する可能性がある仕事。

上司や先輩から任された、責任の重い仕事。

こういう仕事は、なかなか結果が出ません。

頭も使う。

時間もかかる。

自分の実力不足も見えてしまう。

だから、無意識のうちに避けたくなる。

そして、

「自分が得意なことを一生懸命やっている」

という状態に逃げ込んでしまう。

私自身、そんな働き方をしていた時期がありました。


「頑張ったこと」と「価値を生んだこと」は違う

これは、若い人にぜひ知っておいてほしいことです。


仕事では、

たくさん動いたこと

と、

価値を生み出したこと

は同じではありません。

忙しかった。

残業した。

たくさん資料をつくった。

一生懸命考えた。


もちろん、その努力自体に意味がないわけではありません。


でも仕事には、もう一つ大切な視点があります。

「その仕事によって、誰にどんな価値が生まれたのか」

です。


お客様が喜んだ。

売上が増えた。

コストが減った。

仕事が早くなった。

チームの負担が減った。

誰かが成長した。

会社の信用が高まった。


仕事とは本来、こうした変化をつくるためにあります。

だから、

自分がどれだけ頑張ったか

だけを見ていると、仕事の評価を見誤ってしまいます。


評価は、自分の中だけでは完結しない

以前、上司から教えてもらった言葉があります。

「頑張っているかどうかは、自分で決めることではない」

当時は少し厳しい言葉だと思いました。

でも、今はよく分かります。


仕事には必ず相手がいます。

お客様

上司

同僚

市場

社会


自分では、

「すごく良い企画を考えた」

と思っていても、お客様に必要とされなければ仕事としての価値は生まれません。


企業も同じです。

どれだけ自社の商品に自信があっても、顧客から選ばれなければ売上にはならない。

どれだけ時間をかけて提案書をつくっても、コンペで選ばれなければ受注にはならない。

仕事には、そういう厳しさがあります。


でも私は、それを悲観的には捉えていません。


むしろ、

「自分以外の誰かに価値を届けることが仕事なんだ」

と理解できるようになると、仕事はずっと面白くなります。


矢印が「自分」に向きすぎていないか

若い頃の私は、

「自分の実力を証明したい」

という気持ちがかなり強かったように思います。


自分で取った案件だから頑張る。

自分のアイデアだから成功させたい。

自分が中心になれる仕事だから時間をかける。


一見、主体性があるようにも見えます。

でも実際には、

矢印が全部、自分に向いていた。


「チームのために何が必要か」

ではなく、

「自分が評価されるにはどうすればいいか」

を考えていたわけです。


「自分のため」ではなく「チームのため」に考える。

「私」ではなく「私たち」で考える。


主語を置き換えることが、本当の成果につながると感じています。


仕事ができる人ほど、

「自分が何をしたいか」

より先に、

「今、このチームに一番必要なことは何か」

を考えています。


評価されたいなら、「求められている価値」を理解する

「もっと評価してほしい」

「もっと給料を上げてほしい」

そう思うことは悪いことではありません。


私自身、社員には仕事を通じて成長してほしいし、その成果にふさわしい報酬を得てほしいと思っています。


ただ、評価されたいのであれば、

何が評価されるのか、を理解する必要があります。


自分の会社は、何を大切にしているのか。

自分の職種では、どんな成果が求められているのか。

今の自分の役割は何なのか。

上司は何を期待しているのか。

チームの課題は何なのか。


ここを理解しないまま、

「私はこれだけ頑張っています」

と主張しても、お互いに不幸になります。


会社側も、

「何を期待しているのか」

を明確に伝える責任があります。


本人も、

「自分には何が期待されているのか」

を理解する責任があります。


相互の理解があって初めて、健全な評価が成り立ちます。


簡単な仕事をすることが悪いわけではない

ここは、特に新卒や第二新卒の皆さんに誤解してほしくないところです。

簡単な仕事。

小さな仕事。

ルーティン業務。

それらをやることが悪いわけではありません。

むしろ、新人の頃はとても大切です。


約束した期限を守る。

メールをきちんと返す。

頼まれた仕事を最後までやる。

ミスを減らす。

分からないことを確認する。

報告する。

こうした小さな仕事の積み重ねが、

「この人なら、もう少し大きな仕事を任せても大丈夫だ」

という信頼になります。


最初から大きな仕事を狙うのではなく、まずは目の前の小さな期待に応える。


その積み重ねの先に、次の挑戦権があります。

だから、小さな仕事を大切にすることと、

小さな仕事に逃げ続けること

は、まったく違います。


成長する人は、少しずつ「難しい仕事」に時間を移していく

仕事に慣れてくると、

自分がやりやすい仕事だけなら、かなり速く終えられるようになります。

ここからが分かれ道です。


ずっと、

「自分が得意な仕事」

だけを続けるのか。


それとも、

「まだ上手くできないけれど、より大きな価値を生み出せる仕事」

へ挑戦するのか。


成長する人は、少しずつ後者へ時間を移していきます。


作業する人から、考える人へ。

指示されたことをこなす人から、改善を提案する人へ。

自分の仕事だけを見る人から、チーム全体を見る人へ。

自分一人で成果を出す人から、周囲と一緒に成果を出せる人へ。


仕事の難易度が上がるほど、

成果が出るまでには時間がかかります。

簡単には褒めてもらえなくなる。

失敗も増える。

でも、その先に仕事の面白さがあります。

「今日は忙しかった」で終わらせない

仕事を始めたばかりの頃は、

「今日も忙しかった」

というだけで、働いた実感を持てるかもしれません。

でも、ときどき自分に問いかけてみてください。

今日は、何を終わらせたか。

ではなく、

今日は、誰にどんな価値を生み出したか。

そして、

今の自分は、やりやすい仕事ばかり選んでいないか。

と。


これは、今でも私自身に問い続けていることです。


経営者になった今でも、

すぐ終わる仕事。

目の前のメール。

細かな作業。

そういうものを優先して、

本当に考えなければならない難しい経営課題から逃げたくなることがあります。


人間なので、たぶん完全にはなくなりません。

だからこそ、

「仕事をしている気になること」と、「本当に価値を生む仕事をすること」は違う。

このことを忘れないようにしています。


これから社会人になる人。

社会に出て、まだ数年の人。

最初から大きな成果を出す必要はありません。

まずは、小さな約束を守る。

小さな仕事をやり切る。

信頼を積み重ねる。

そして少しずつ、

「自分がやりやすい仕事」から、「誰かに大きな価値を届けられる仕事」へ。

仕事の重心を移していってほしいと思います。


その先に、

「仕事をしているつもり」

ではなく、

「自分の仕事が、誰かの役に立っている」

という、本当の仕事の面白さが待っていると思います。

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